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使わないと損!最大224万円の支援をうけられる「教育訓練給付金制度」って?
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終身雇用制度の崩壊やAI化による代替が唱えられる昨今、個人のスキルを磨くことは“自分の将来”を守るうえでも重要な意味を持ちます。とくにライフステージの変化による影響を受けやすい女性は、生涯働き続けるためにもさまざまなスキルを身に付けておきたいところです。とはいえ、「リカレント教育(学び直し)」 にはお金がかかるもの。資格取得のための教材費に数万円、大学院や専門学校に通うためには数十万円から数百万円の費用がかかることもあります。そんな時代に注目されているのが、「教育訓練給付制度」です。制度をうまく活用して、スキルアップ&キャリアアップを目指しましょう!
- コラムサマリ
1. キャリアアップに繋がる!「教育訓練給付制度」とは
2. 私たちも夢のために制度を活用しました!
3. どんな人が利用できる?給付対象をチェック
4.なにを学べる?どんな資格をとれる?
5.どうやって申請するの?
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キャリアアップに繋がる!「教育訓練給付制度」とは
「教育訓練給付制度」は、働く人々の主体的な能力開発やキャリア形成をサポートするために誕生した制度で、厚生労働大臣指定の教育訓練を修了した際に、受講費用(入学料や受講料など)の一部を支給します。
2018年1月には給付率の引き上げや受給条件の緩和など、さらに制度が拡充しました。受給者側のメリットが大きくなったことを受け、より注目を集めています。私たちも夢のために制度を活用しました!
本制度を利用して「リカレント教育」に取り組んだ女性たちにインタビュー。講座を選んだきっかけや申請した感想、受講による働き方の変化などを伺いました。
産休後に難関資格に挑戦!セカンドキャリアを歩むきっかけに(30代/社会福祉士)
産休から復帰したあと、仕事と子育ての両立が難しく泣く泣く退職……。バランスよく暮らせるようになったころ復帰を目指したのですが、なかなか希望する職種に就職できず数年間パートとして働いていました。そんなときに知った「教育訓練給付」。 “手に職を”という想いと社会貢献性の高さから、社会福祉士資格に思い切ってトライすることに決めました。久しぶりの勉強でかなり大変でしたが、ここまで大きく挑戦できる機会はなかなかないと思ってガムシャラに勉強しましたね。
資格への挑戦を後押ししてくれた「教育訓練給付金」は、申請後1週間ほどで振り込まれました。あまりの早さに驚きましたが、努力が報われたように感じてありがたかったです。ただ必要書類に不備があり、3度もハローワークに足を運ばなければなりませんでした。ウェブ上でも確認できますが、事前に管轄のハローワークに確認しておくのが安心です。会社に勤めながら大学院の専門プログラムを受講!(30代/会社員)
昇進試験に挑むために、現職に関わる専門知識(経営管理など)を得られる大学院の専門プログラムを受講しました。平日夜間の授業がメインだったので、仕事終わりに通えてよかったです。国立大とはいえ、入学金を合わせると年間授業料は100万円近くになります。給付金があることで“学びたい欲”を諦めずに済んだ部分も大きいですね。申請方法も簡単でしたし、周囲にも同制度を利用している方が多かったのでとくに迷わず申請できました。
どんな人が利用できる?給付対象をチェック
教育訓練給付を受けるためには、雇用保険の加入期間などの条件をクリアする必要があります。正社員だけでなく、パートやアルバイト、派遣労働者の方も対象です。
● 過去に教育訓練給付を受けたことがない人
条件①受講開始日時点で、在職中で雇用保険に加入している。
条件②雇用保険の加入期間が1年以上ある。(専門実践教育訓練を受講する場合は2年以上)
● 過去に教育訓練給付を受けたことがある人
条件①前回の受講開始日から数えて、3年以上雇用保険に加入している
条件②前回の支給決定日から3年以上が経過している
※条件を満たしているかは、ハローワークで詳しく調べることができます。
なにを学べる?どんな資格をとれる?
「教育訓練給付制度」の魅力は、学べる講座の豊富さ。対象となるのはなんと約14,000もの講座で、英語や簿記などの資格取得から大学院・大学の課程、業務独占資格の取得支援まで、多種多様な講座が用意されています。
なお、講座はレベルなどに応じて全3種類に分類されています。どの講座を選ぶのかによって給付金の額が異なります。<専門実践教育訓練>
中長期的キャリア形成に資する教育訓練が対象で、講座や資格取得の難易度は高め。給付金として、受講費用の50%(年間最大40万円)が訓練受講中6か月ごとに支給されます。資格取得までに長期間かかるものも多く、最大で224万円の支援が受けられます。
対象となる講座(一例)
・業務独占資格などの取得を目標とする講座(介護士、社会福祉士、看護師、美容師、歯科衛生士、保育士、調理師など)
・デジタル関係の講座(ITSSレベル3以上のIT関係資格取得講座など)
・大学院や大学などの課程(MBA、法科大学院、教職大学院など)
・専門学校の課程(文部科学大臣認定の職業実践専門課程やキャリア形成促進プログラムほか)
資格取得かつ訓練修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合、追加で受講費用の20%(年間最大16万円)が支給されます。なお、失業者がはじめて専門実践教育訓練(通信制、夜間制を除く)を受講する場合、一定の要件を満たすことで別途教育訓練支援給付を受けられます。
<特定一般教育訓練>
すみやかな再就職や早期のキャリア形成に役立つ教育訓練が対象で、受講費用の40%(最大20万円)が訓練修了後に支給されます。
対象となる講座(一例)
・業務独占資格などの取得を目標とする講座(宅地建物取引士資格、介護職員初任者研修、大型自動車第一種・第二種免許、税理士、自動車整備士など)
・デジタル関係の講座(ITSSレベル2以上のIT関係資格取得講座など)
<一般教育訓練>
雇用の安定や就職の促進に役立つ教育訓練が対象で、受講費用の20%(最大10万円)が訓練修了後に支給されます。
・資格の取得を目標とする講座(英語検定、中国語検定、簿記検定、ITパスポートなど)
・大学院などの課程(修士や博士の学位などの取得)
・専門的サービス関係の資格や講座(中小企業診断士、司書など)
対象となっているほかの講座は「教育訓練講座検索システム」で検索できます。学習期間が比較的短い資格、夜間や土日の講座なども多数ラインナップされているので、自分のペースで学習できる講座がきっと見つかるはずです。
どうやって申請するの?
給付金についても、3つのうちどのコースを選ぶのかによって申請方法が異なります。「一般教育訓練」を受講する場合には、受講が終わってから1カ月以内にハローワークにて所定の申請を行えば給付金が支給されます。一方で、「特定一般教育訓練」と「専門実践教育訓練」を受講する場合は受講前と受講後で合計2回の手続きが必要です。期限までに事前手続きを行わないと資格を失うので注意しましょう。
専門実践教育訓練と特定一般教育訓練の申請ステップ
ステップ1.ハローワークにて訓練前キャリアコンサルティングを受ける
ステップ2.受給資格の確認(受講開始日の1ヶ月前まで)
ステップ3.ハローワークに必要書類を提出し、支給申請(修了日の翌日から1ヶ月以内)
どんな書類が必要?
・教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票(ハローワーク等で配布)
・ジョブ・カード(訓練前キャリアコンサルティングでの発行から1年以内のもの)
・本人・住所確認書類(コピー不可)
・マイナンバー確認書類及び身元(実在)確認書類
・雇用保険被保険者証
・写真2枚(例外あり)
・給付金の振込先通帳またはキャッシュカード
申請については病気やケガ、1カ月以上の海外出張など、やむを得ない理由があると認められない限り、代理人申請や郵送申請は不可。受講翌日から1ヶ月以内と期限も短いため、必要書類は早めに準備しておきましょう。
「教育訓練給付制度」は日本の働く女性の強い味方
日本人女性のキャリアは「M字カーブ型」だと言われており、結婚や出産などで仕事から離れる20~30代で一度深く落ち込み、子育てが一段落して自分の時間を持てるようになる40代でふたたび上昇する傾向にあります。そんなときにも、リカレント教育で得た知識やスキルは大きな武器になります。自分らしく働くために、そして人生を豊かにするために「教育訓練給付制度」を活用してスキルアップしていきましょう。
この記事の執筆協力
- 執筆者名
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山本 杏奈
- 執筆者プロフィール
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金融機関勤務を経て、フリーライター/編集者に転身。現在は企業パンフレットや商業誌の執筆・編集、採用ページのブランディング、ウェブ媒体のディレクションなど、幅広く担当している。
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